名前に「偽」がつく整形外科の病気がいくつかあります。偽痛風、偽関節、偽性麻痺など。
本物があるからこそ、その偽物として命名された病気ですが、しっかりした診断基準や治療法がある重要な病気です。
偽痛風について
偽痛風とはピロリン酸カルシウムが関節軟骨や周りの組織に沈着して起こる関節炎です。痛風と症状が似ていますが、高尿酸血症が見られないことから名付けられました。
症状
高齢者に多く、突然、関節に疼痛、発赤、腫脹がでます。好発部位は膝関節、ついで手関節、肩関節、足関節です。
診断
70代以上の方が膝などの関節に急激に腫れを伴う疼痛がでたときは第一に疑います。関節穿刺液が濁っていた場合は更に確率が高まり、顕微鏡検査で関ピロリン酸カルシウム結晶が認められれば確定診断となります。特に膝関節では、過去の発作を反映して半月板に石灰化を認めることもあります。化膿性関節炎、痛風発作、関節リウマチとの鑑別診断が重要です。
治療
1~2週間で自然に軽快します。しかしながら、痛みがあまりに強いため、濁った関節液を穿刺廃液してステロイド注射を行い、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID) の内服、弾性包帯での固定、アイシングなどを行って、なるべく早く痛みを取り除くように頑張ります。
なお、痛風は違い、食事療法の必要はありません。
特に注射の効果は著しく、注射直後から疼痛は緩和します。