SAPHO症候群(サフォーしょうこうぐん)とは
1987年にフランスのChamotらによってSynovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)がみられる疾患として発表されました。慢性反復性多発性骨髄炎(CRMO)、胸肋鎖骨肥厚症、掌蹠膿疱症性骨関節炎などの病気を含みます。
発症頻度は1万人に1人程度でほぼ性差はなく、好発年齢は30-50歳台です。原因は分かっていませんが、長期的にどんどん悪化することはまれです。
症状
最も特徴的な症状は、胸鎖関節周辺の痛みや腫れで8割程度の方にみられます。四肢や脊椎の関節が障害されることもあります。また、8割以上の方に掌蹠膿疱症、尋常性乾癬、ざ瘡などの皮膚症状がみられます。寛解(症状が落ち着いて安定した状態)と増悪(症状の悪化)を繰り返します。
診断
レントゲン、CT、MRI、骨シンチグラフィー、血液検査などを総合的に判断して診断します。
Benhamouらが1988年に提唱した診断基準
下記4項目中1項目を満たし、除外項目にあたらない場合に診断する。
- 重度のざ瘡を伴う関節病変
- 掌蹠膿疱症を伴う関節病変
- 四肢、脊椎、胸鎖・胸肋関節の骨肥厚症
- 体軸もしくは末梢の慢性再発性多発性骨髄炎
除外項目
化膿性骨髄炎、感染による胸壁の関節炎、感染性掌蹠膿疱症、手掌角化症、びまん性特発性骨増殖症(DISH)、レイチノイド療法に伴う骨関節病変
治療
現在のところ確立した治療法はありませんが、有効性の報告があった下記薬剤を組み合わせて治療します。
- 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)内服
- ステロイド注射
- 骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート)
- 抗リウマチ薬(メトトレキサート、サラゾスルファピリジン)
- 生物学的製剤(TNF阻害剤)
- 抗菌薬(ドキシサイクリン、アジスロマイシン、クリンダマイシン)