手と足の親指には似たような病名がついている
① 強剛母指
② 強剛母趾
③ 母指のばね指
④ 母趾のばね指
実はこの4つ、手と足では全く違う病気です。
① 強剛母指は小児の病気です。
乳児に発症し、手の親指の第1関節が曲がったままで伸びないままになります。
原因は不明で、屈筋腱(指を曲げる腱)が太くなって、靭帯性腱鞘(トンネル)を通り超えられなくなります。
自然治癒することが多いので夜に伸ばした状態で固定して経過をみます。
小学校に入る前まで治らない場合は外来手術を行うこともあります。
② 強剛母趾は大人の病気です。
足の親指のMP関節の変形性関節症です。
関節軟骨がすり減ったり骨棘ができることでMP関節を背屈させると痛みます。
母趾を背屈させないようにする生活習慣や、硬いインソール、ステロイド注射などで経過をみます。
症状が強い場合は骨棘の切除術や関節固定術、人工関節置換術などを行うこともあります。
③ 母指のばね指は大人の病気です。
親指を使いすぎてA1腱鞘という靭帯性腱鞘(トンネル)でこすれると炎症を起こして太くなり、トンネルを通り超えられなくなります。
さらに進行すると引っ掛かりが生じて跳ねる現象が起こるため「ばね指」と呼ばれます。
生活習慣で親指の先端を使わないように注意します。
ステロイド注射は有効性が高く、3ヶ月程度は効果が続きます。
再発を繰り返す場合は、トンネルを切る手術(腱鞘切開)を行います。5分程度の手術です。
④ 母趾のばね指はバレリーナに多く見られます。
親指を曲げる筋肉(長母趾屈筋腱)の腱鞘炎です。
親指の第1関節の屈伸でばね現象が起こりますが、原因は足首の後ろ側にあります。
練習量の軽減やステロイド注射で改善しない場合は手術(三角骨切除術)をすることがあります。
いやあ、複雑ですねえ。
専門的な話は置いておくとしても、親指は一番太い分だけ負担がかかりそうですよね。
親指の負担を減らして仲良く過ごせるといいですよね。頑張っている親指にエールを贈ってあげてください!