治療

ウゴービによる肥満症治療

ウゴービによる肥満症治療

当院では、BMI27以上の肥満症があり、腰椎・股関節・膝・足関節などに変形がある方のうち、食事療法・運動療法をすでに6か月以上行っても十分な効果が得られておらず、体重減少によって症状の改善が期待できる患者さんを対象に、GLP-1受容体作動薬(ウゴービ)による自費診療を提供しています。

※BMI (Body Mass Index) とは…
体重と身長から計算して「やせ」「標準」「肥満」などの体格の目安を示す指標です。脂肪量そのものを直接測るわけではなく、あくまで体格の簡便な目安として使われます。
【計算式】 BMI = 体重(kg) ÷ {身長(m)×身長(m)}
【例】 身長170cm(1.70m)、体重65kgの場合 → 65 ÷(1.70×1.70)= 65 ÷ 2.89 = 約22.5
【目安(日本でよく使われる基準)】
・18.5未満:やせ
・18.5以上25未満:普通
・25以上:肥満

「肥満のせいで関節が痛く、運動ができない」「痩せられたら運動を始められるのに」
「食事療法の大切さは分かっているけれど、食欲をうまくコントロールできない」
このような方におすすめです。

ウゴービとは

ウゴービ(一般名:セマグルチド)は、もともと体の中にある「GLP-1」という、食後に出て“満腹”を伝えるホルモンの働きを薬で補い、食べ過ぎにくくする注射です。

① まず脳に働きます
脳の「食欲を調整するところ」に作用して、空腹感や「つい食べたくなる気持ち」を弱めます。少ない量でも満足しやすくなり、間食が減りやすくなります。

② 次に胃にも働きます
胃の動きをゆっくりにして、食べたものが胃から腸へ移動するスピードを遅くします。これにより、食後の満腹感が長く続きやすくなります。

③ 血糖にも作用します
食後に血糖が上がったとき、膵臓に働いてインスリン(血糖を下げるホルモン)を出しやすくし、同時にグルカゴン(血糖を上げるホルモン)を出にくくします。その結果、食後の血糖の急な上がり方をおだやかにします。

ウゴービは、「代謝を無理に上げる」のではなく、「食欲が落ちて食べる量が自然に減る」ことで少しずつ体重を減らしていくお薬です。

適応疾患

BMI27以上の肥満症があり、腰椎・股関節・膝・足関節などに変形性変化を認める方のうち、すでに食事療法・運動療法を6か月以上行っても十分な効果が得られておらず、体重減少によって症状の改善が期待できる、以下に当てはまる方

A 高血圧または脂質異常症があり、さらに次のいずれかに当てはまる方
1)高尿酸血症・痛風
2)冠動脈疾患
3)脳梗塞・一過性脳虚血発作
4)非アルコール性脂肪性肝疾患
5)閉塞性睡眠時無呼吸症候群
6)肥満関連腎臓病

B BMI35以上で、高血圧または脂質異常症のいずれかを有する方

なお、すでに2型糖尿病と診断されている方は、主治医のもとでの治療が望ましいと判断されるため、当院でのウゴービ治療は対象外とさせていただきます。

当院では、厚生労働省が承認した適応および厳密な対象条件を踏まえ、肥満症に該当しない方や、単なる美容目的などによる適応外使用を目的としたウゴービの処方は行いません。

効能・効果(当院での位置づけ)

ウゴービは、上記のような肥満症の方に対して、体重を減らし、肥満に関連する病気(高血圧、脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸、心血管疾患、腎臓病など)の悪化を防いだり、改善を目指す薬です。

当院では特に、体重減少によって「腰や股関節、膝、足関節などの痛みや機能低下」を軽くすることを大きな目的としています。

すべての方に同じ効果が出るわけではありませんが、食事と運動を続けながら用いることで、体重と症状の改善が期待できます。

ウゴービの保険診療での位置づけ

 ウゴービは、本来「肥満症」の治療薬として公的医療保険の対象となる医療用医薬品ですが、だれでも・どこの医療機関でも保険で使えるわけではありません。

 日本循環器学会、日本糖尿病学会、日本内分泌学会などの専門医が常勤し、ガイドラインに沿った肥満症治療を行っているなど、一定の条件を満たした医療機関に限って、ウゴービを保険で使用することが認められています。

 また、保険診療で薬物治療まで進むには、まず医師による診察・検査と、適切な食事療法や運動療法の指導を行うことが必要です。さらに、少なくとも2か月に1回以上の頻度で「管理栄養士による栄養指導」を6か月以上継続することが求められています。そのため、受診から投薬開始まで、最低でも約6か月を要するのが通常です。

 当院は整形外科クリニックであり、これらの保険上の施設要件を満たさないため、ウゴービを保険診療として処方することはできません。そのため、承認された効能・効果および用法・用量を守りながら、「自由診療(自費)」としてウゴービ治療をご提供しています。

 なお、保険診療でのウゴービは2型糖尿病のある肥満症の方も対象に含まれますが、当院では糖尿病の専門的な管理は行っていません。このため、すでに2型糖尿病と診断されている方は主治医の先生のもとでの治療を優先していただき、当院でのウゴービ治療は対象外とさせていただいています

保険診療との関係について

通常の診察・検査・注射・リハビリなどの整形外科診療は、これまでどおり健康保険を使った保険診療として行います。

一方、肥満症に対するウゴービ皮下注治療は、自由診療(自費)として保険診療とは別枠で行います

ウゴービ外来は、肥満症に対する自由診療です。

同じ日に膝・腰などの保険診療による診察、処方、注射、リハビリなどを行うと、混合診療に該当する可能性があるため、ウゴービを処方する日は「ついでの保険診療」は原則としてお受けしておりません

なお、急病などでやむを得ない場合は、保険診療を優先し、ウゴービの処方は後日とさせていただきます。

ウゴービの効果について

過去の臨床データでは、最高用量である2.4mgを68週(約1年4か月)続けた場合の目安として、
 約90%の方が体重5%以上、
 約70%の方が10%以上、
 約50%の方が15%以上、
 約30%の方が20%以上の減量を達成しています。

また、用量ごとの平均的な体重減少の目安としては、12週(約3か月)続けた場合に、
 0.25mgで体重の約1.5%、
 0.5mgで約2.5%、
 1.0mgで約4.5%、
 1.7mgで約5.5%の減量が期待されます。
(いずれもあくまで目安であり、実際の効果には個人差があります)

用法・用量とスケジュールについて

【基本的な用法・用量】
・ウゴービは、週1回、決めた曜日に1回だけ、自分で皮下注射します。
・食事の前後や時間帯は問いません(朝でも夜でもかまいません)。
・1回に使うペンは1本のみで、同じ日に2回打ってはいけません。

【漸増(少しずつ増やす)スケジュール】
最初から最大量を打つと、むかつきや吐き気などの副作用が出やすくなります。
そのため、次のように4週間ごとに少しずつ増やしていきます。

・開始〜4週目            0.25 mgを週1回
・5〜8週目                  0.5 mgを週1回
・9〜12週目                1.0 mgを週1回
・13〜16週目              1.7 mgを週1回
・17週目以降               2.4 mgを週1回  (体調に応じて1.7 mgで止めることもあります)

ただし、副作用が出ている場合は無理に増量せず、現在の量を続けるか、必要に応じて減量するなど、その都度、医師と相談して決めます。

治療期間の目安と効果判定について

ウゴービは、短期間だけ使う薬ではなく、中長期的に体重をコントロールすることを前提とした治療薬です。

海外を含む臨床試験では、最長で約68週間(およそ1年4か月)まで使用したデータがあり、現時点ではこの期間が安全性と効果の評価の目安になっています。

当院では、まず1年〜1年半程度(おおむね68週以内)を目安に治療計画を立て、途中で体重や痛みの変化、副作用の有無を確認しながら、継続・中止・減量などを検討します。途中で全く効果がみられない場合や、副作用が強い場合は、68週を待たずに中止や減量を行います。

特に治療開始から約16週目(およそ4か月)の時点で、初診時からの体重変化を必ず評価します。
この時点で、初診時の体重からの減少が5%未満の場合は、効果が十分でない可能性が高いため、中止や他のアプローチ(生活指導の見直し、別の治療法の検討など)を医師と一緒に考えます。
あわせて、痛みや歩行距離、階段昇降などの変化も踏まえて、継続するかどうかを判断します。

血液検査の内容とタイミング

ウゴービ治療の安全性を確認するため、治療開始前(初回)と、その後はおおむね3か月ごとに血液検査を行います。

(初回に行う主な検査項目)
・血液一般検査:貧血や炎症の有無を調べます。(赤血球・白血球・血小板など)
・肝機能・胆道系:肝臓や胆のうの状態を確認します。
 (AST、ALT、γ−GTP、ALP、総ビリルビン、総蛋白、アルブミンなど)
・腎機能・尿酸・電解質:腎臓の働きや脱水の有無を確認します。
 (尿素窒素、クレアチニン、尿酸、ナトリウム、カリウム、クロールなど)
・糖代謝:糖尿病やその手前の状態がないかを確認します。(HbA1c)
・脂質:コレステロールや中性脂肪の状態を確認します。
 (総コレステロール、中性脂肪、HDL−コレステロール、LDL−コレステロール)
・必要に応じて、膵酵素(アミラーゼなど)、甲状腺機能などを追加することがあります。

(再診時に3か月ごとを目安に行う検査)
・肝機能・胆道系、腎機能・尿酸・電解質、糖代謝(HbA1c)、脂質などを中心に、状態に応じて必要な項目を選んで実施します。

副作用と注意してほしい症状

【比較的よくみられる症状】
・むかつき、吐き気
・食欲の低下
・お腹がゆるい、または便秘
・お腹の張り
・頭痛、だるさ
多くの場合、少しずつ体が慣れてきますが、つらいときは我慢せずご相談ください。

【すぐに連絡してほしい症状】
次のような症状が出たときは、できるだけ早く当院にご連絡ください。当院が休診で症状が強い場合は、当院でお渡しする説明書を持参して、救急医療機関を受診してください。
・強いお腹の痛みが続き、背中までひびくような感じがある
・吐き気や嘔吐が止まらない
・右上のわき腹が痛く、発熱や黄疸(白目が黄色っぽい)、色の濃い尿が出る
・お腹が張って、便やガスが出ず、吐き気や嘔吐が続く
・冷や汗、ふらつき、動悸、手のふるえなど、低血糖が疑われる症状
・首のしこり、声のかすれ、飲み込みづらさが続く

【妊娠・授乳について】
・妊娠中、妊娠の可能性がある方、近いうちに妊娠を希望されている方、授乳中の方は、この治療を受けることができません。
・治療開始前や治療中に状況が変わった場合は、必ず医師にお伝えください。

生活の工夫について

この薬は、「食事」と「運動」の補助として使うことで、効果を発揮しやすくなります。

急に食事を極端に減らすと、ふらつきや筋肉量の低下につながることがあります。

たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)を意識してとり、可能な範囲で軽い筋トレや散歩を続けてください。

お酒は控えめにし、特に多量飲酒は避けてください。膵臓や肝臓への負担が増えます。

続けるうえで難しい点や不安なことがあれば、その都度スタッフにご相談ください。

料金とお支払いについて

【料金】
▶ 自由診療初診料(問診+体重・血圧測定+簡単な関節評価+薬剤や注射に関する説明)
  3,300円(初回のみ)

▶ 自由診療再診料(問診+体重・血圧測定+簡単な関節評価)
  1,320円/回

▶ 自由診療血液検査料(ウゴービ治療の安全確認のための血液検査、3か月に1回程度)
  5,500円/回

▶ ウゴービ薬剤費(4週間分・税込)
  0.25 mg    16,500円
    0.5 mg    23,100円
    1.0 mg    34,100円
    1.7 mg    41,800円
    2.4 mg    52,800円

実際のご請求は、例えば次のような内訳になります。
・自由診療再診料(ウゴービ外来)           〇円
・自由診療血液検査料(行った場合のみ)  〇円
・ウゴービ 〇mg 4週間分                     〇円
 合計                                                 〇円 (税込)

【お支払い】
ウゴービを処方する際は、診察料・検査料に加えて1か月分(4週間分)の薬剤費をお支払いいただき、窓口にて薬剤をお渡しします。

費用面でご不安な点がある場合は、開始前に遠慮なくご相談ください。

お支払い後は、製品回収等があった場合や明らかな会計誤りがあった場合など、法令上返金が必要と判断される特別な事情を除き、返金には原則として応じかねます。

医薬品副作用被害救済制度について

本剤(ウゴービ)は日本で承認された医療用医薬品であり、承認された効能・効果、用法・用量に従って適正に使用したにもかかわらず重い副作用が起きた場合には、「医薬品副作用被害救済制度」の対象となる可能性があります。

ただし、救済制度が適用されるかどうかは、個々の事例ごとにPMDA(医薬品医療機器総合機構)が審査して決定します。

また、救済の対象となるのは、副作用の治療にかかった保険診療分の自己負担額などであり、本治療のためにお支払いいただいた自費診療分の費用(薬剤費・自費初診料・自費再診料など)は、原則として補償の対象外です。