2023年7月に、日本口腔外科学会、日本骨粗鬆学会、日本骨代謝学会、日本歯科放射線学会、日本臨床口腔病理学会、日本病院薬剤師会が協力して、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)に関するポジションペーパーが2016年以来、7年ぶりに改定されました。
ポジションペーパーとは何でしょうか?
専門家が現時点における治療方針などに関して統一見解を示す文書です。社会的に悩ましい問題について関連する学会が協力して一定の見解を示す貴重な存在です。
今回は、MRONJポジションペーパーの”超”要約版をお伝えします。
・ビスホスホネート製剤、とデノスマブ製剤(プラリアなど)で治療中の方で、8週間以上、顎骨の周りの傷が閉じず骨が露出した場合に薬剤関連顎骨壊死と診断します。
・がんの骨転移に用いられるような高用量の薬剤が投与されたり、口腔の衛生状態が悪かったり、糖尿病や貧血、喫煙などにより全身状態に問題があったりすると危険性が高まります。
・日本でのMRONJの発症率は、一般人口の0.005%/年に対して骨粗鬆症治療中では0.135%/年とされています。
・抜歯やインプラント埋入術を受けるときに、骨粗鬆症治療薬の休薬は原則的に勧められません。
・骨粗鬆症の治療を始めるときには、歯科でスクリーニング検査を受けて、必要に応じて歯科治療を進めることが望まれます。
当院では、このポジションペーパーに従って、骨粗鬆症の治療開始時には全例、歯科にご紹介させていただきます。