コラム

湿布

湿布はとても効果的な治療法です

湿布の発祥は紀元前1000年頃の古代ギリシャまで遡り、紀元前400年頃にヒポクラテスがヤナギの樹皮を生薬として使っていたと言われています。日本では江戸時代後期に中国から伝播されて使われるようになりました。

湿布には、厚いタイプの「パップ剤」と薄いタイプの「テープ剤」があり、それぞれに「冷湿布」と「温湿布」がありますので、合計4種類あります。

冷湿布にはハッカ油やL-メントール(ハッカ成分)が含まれ、局所の冷感神経に作用して清涼感をもたらします。温湿布には唐辛子エキスやノニル酸ワニリルアミド(合成唐辛子)が含まれ、局所の血管を拡張させて温感をもたらします。冷感より温感の方が約1℃皮膚温は高くなると言われています。

パップ剤は水分を含んでいるので、この水分の蒸発作用により最大約3℃皮膚温を下げる効果があります。温湿布にも水分が含まれていますので、貼ったときはひんやりしますが、時間とともに温かくなってきます。

テープ剤はパップ剤と違って水分を含みませんので、冷却効果はありません。温感テープは約1℃皮膚温を上げる効果があります。

冷湿布は患部を冷やし腫れを抑え、温湿布は患部を温めて血行を促します。使い分けとしては、例えば、足を捻ってケガした場合などの急性期は冷湿布を、肩こりや腰痛などの慢性期には温湿布を使います。どちらがいいか迷う場合は、冷たいタオルで冷やすと気持ちいい場合は冷湿布、 お風呂で温まると心地よくなる場合は温湿布を使うとよいでしょう。

ケガのあとで冷却する場合は、パップ剤、テープ剤のいずれを使う場合も、その上から保冷剤や氷嚢で冷やしましょう。

冷感や温感の成分だけを含む湿布を「第一世代」、鎮痛消炎剤を含み局所で鎮痛効果を発揮する湿布を「第二世代」、経皮吸収率が高く全身の鎮痛消炎作用が期待できる湿布を「第三世代」といいます。

第二世代の湿布は、薬剤の血中濃度は内服薬の約10分の1で済むので全身の副作用が少なくすみます。また、患部の筋肉に到達する薬剤濃度は内服薬の30倍にもなるので高い効果が期待できます。12時間貼ってはがしても1日効果が続くとされています。

第一世代の代表は、MS冷湿布、MS温湿布です。
第二世代の代表は、ロキソニンパップ/テープやモーラスパップ/テープです。
第三世代の代表は、ロコアテープやジクトルテープです。

なお、冷感湿布に含まれるハッカの臭いが苦手な方は、ハッカ成分を含まないセルタッチパップやセルタッチテープがお勧めです。

湿布の貼り方

使用上の注意

・消炎鎮痛剤を使用後、主に30分以内に起こる喘息をアスピリン喘息といいます。アスピリンに限らず、多くの消炎鎮痛剤の成分でも起こりえるので、注意が必要です。内服薬だけでなく、湿布やクリーム、ゲルでも起こりえます。
・毎日おなじ箇所に貼ると皮膚がかぶれることがありますので、貼る箇所を少しずつ変えてください。
・皮膚が乾燥している場合は、入浴後に保湿剤を塗って、おちついてから貼るようにしてください。
・一部の湿布は光線過敏症をきたす可能性がありますので、使用後数ヶ月は貼布部位を日光に当てないようにしてください。
・妊娠後期の女性が使用すると胎児の動脈管収縮をきたす可能性がありますので使用してはいけません。
・ご家族や友人に譲り渡さないようにしてください。この湿布はあなただけのものです!

参考文献
https://www.teikoku-pc.co.jp/column/column2.html
https://www.hisamitsu-pharm.jp/assets/img/tdds/pdf/pamphlet03.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki1962/50/3/50_3_121/_pdf/-char/ja
https://www.pmda.go.jp/