コラム

モートン病

最近では聞いたことがある方も多い病気、モートン病

実は歴史的な経緯から病態の異なる3つの病気を含んだ病名になっています。

① Thomas George Morton先生が1876年に発表したモートン(偽)神経腫
② Dudley Joy Morton先生が1928年に発表したモートン趾
③ 中足骨骨頭部痛

現在主にモートン病と言われているのは①です。

②は、第1中足骨が短いために第2・3中足骨骨頭部の荷重が増加し、胼胝(たこ)ができて踏み込む時に痛む病気です。

③は、開張足による横アーチの低下のため、第2・3中足骨骨頭部の荷重が増加し、胼胝ができて踏み込む時に痛む病気です。

以下では、①(狭義のモートン病)についてご説明します。

症状

ハイヒールを履いたり、つま先立ちや踏み込んだりしたときに、第3趾と第4趾にしびれや疼痛が出現します。他の趾の間に生じることもあります。

病態

MTP関節が背屈されることによって中足骨骨頭部を結ぶ深横中足靱帯が緊張し、そのすぐ下を通る神経が靱帯と地面の間で圧迫されて生じます。繰り返される刺激によって神経は肥大して大きくなります(偽神経腫)。中年以降の女性に多く発症します。

診断

痛みがある足趾の間に感覚障害があり、障害部位の中足骨頭部を叩くとその神経支配領域に疼痛が放散します(Tinelサイン)。また、足趾を背屈させたり、中足骨骨頭部を横から掴むように圧迫すると増悪します(Mulderテスト)。

レントゲン検査、MRI検査、超音波検査などを必要に応じて行います。

治療

まず、足底挿板などを用いた保存的治療をします。
3ヵ月ほど様子を見て症状が回復しないものでは手術が必要になることもあります。

保存的療法
局所の安静(踏み込まないようにする、ハイヒールをやめる)、足底挿板(インソール)、運動療法、ブロック注射など。

3ヵ月ほど様子を見て症状が回復しないものでは、神経剥離、神経腫摘出、深横中足靱帯の切離等などの手術が行われることもあります。