足首(足関節)を内側と外側から守る2本の腱があります。
足関節の内側には後脛骨筋腱、外側には腓骨筋腱が通っていて、足関節を上げ下げ(背屈と底屈)するのに重要な役割を担っています。
これらの腱はそれぞれ内くるぶし(内果)と外くるぶし(外果)という骨の出っ張りを滑車にしてその後ろを通り抜けます。腱が簡単に外れないように、筋支帯という軟部組織のトンネルが補強しています。
足関節を捻挫すると、これらの腱が外れてしまうことがあり、腱脱臼と呼ばれます。
腓骨筋腱脱臼はMonteggiaがバレエダンサーで受傷した症例を1803年に初めて報告しました。足関節の怪我のうち0.5%程度と言われています。腓骨筋腱には長腓骨筋腱と短腓骨筋腱がありますが、脱臼するのはほとんどが長腓骨筋腱です。
後脛骨筋腱脱臼はMartiusが1874年に初めて報告しました。腓骨筋腱脱臼に比べるとかなりまれです。
診断はエコーが一番確実です。レントゲンやMRIでも状態を確認します。
治療は、もし腱の脱臼をもとに戻すこと(整復)ができれば、4週間のギプス固定を行います。この場合も再び脱臼する可能性は30%程度あると言われています。
手術は、骨に腱が通る溝をつくったり、トンネルを再建したりします。スポーツには術後3か月程度で復帰できると言われています。