コラム

非定型骨折

骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネートは、骨折を予防する効果が強く、よく処方されるお薬です。
ビスホスホネートなどの骨吸収抑制薬の長期投与により大腿骨が硬くてもろくなってしまった結果、軽いケガで骨折してしまうものを非定型骨折と呼びます。

Odlivaが2005年、Lenartが2008年に報告して、非定型大腿骨骨折と命名されました。骨吸収抑制薬以外にも胃薬であるプロトンポンプ阻害薬やステロイドでも発生することが知られています。

日本で非定型大腿骨骨折は毎年1100人程度発生ししていると推定されています。

原因が疑われる薬は、ビスホスホネートが65%、ステロイドが18%、プラリアが7%だったという報告があります。

ビスホスホネートを3年以上投与している場合に徐々に危険性が増しますが、中止すると3か月以降に急速に低下します。

また、大腿骨が内反している(大腿骨がO脚になっている)アジア人に多いとされていて、薬とは関係なく発症する人もいるようです。

なお、同じような病気が前腕の骨(尺骨)に生じることもあります。

治療は、まず原因となっている薬を中止し、テリパラチドなどの骨形成促進薬を投与します。すでに骨折している場合や、骨折の危険性が高い場合は予防的に手術を行います。

骨粗鬆症の治療中に太ももが痛くなるようでしたら早めにご相談ください。