コラム

骨壊死(特発性大腿骨頭壊死症と大腿骨内顆骨壊死)

骨壊死という言葉を聞いたことがありますか?
「壊死」というとバイ菌が入って腐って崩れてしまうような怖いイメージがありますね。
実は、ここで言う「壊死」は細菌感染とは関係ありません。
骨も生き物ですので、生きていくためには血流によって栄養が行きわたる必要があります。
ところが、何らかの理由で血流が乏しくなると骨組織が死んでしまい、硬さを保てなくなって潰れてしまいます。
家に例えれば、一部の部屋の柱が全部シロアリに食べられてその部屋だけ崩れてしまうような現象です。
このように、骨を栄養する血流が途絶えてしまったために骨が局所的に潰れてしまう病気を骨壊死と言います。

大腿骨は骨壊死が発生しやすい骨として知られています。
代表的なものとして特発性大腿骨頭壊死症(股関節)と大腿骨内顆骨壊死(膝関節)があります。

特発性大腿骨頭壊死症はステロイドの大量投与、過度の飲酒、喫煙が関連すると考えられていて、30~50歳代に多く発生します。

それに対して、大腿骨内顆骨壊死は60代以降の特に女性に多く発生します。骨粗鬆症によって骨が弱くなっているところに日常生活のなかでちょっと踏み込みが強かったという程度の力が加わることによって、軽い骨折(軟骨下脆弱性骨折)が起こることが原因ではないかと考えられています。

どちらの病気も最初は保存療法を行います。歩行などの活動量を痛みの出ない範囲に留め、鎮痛剤を内服して痛みをコントロールします。
それでも骨が大きく潰れてしまって痛みが強い場合には手術を行うこともあります。

「急に股関節や膝が痛くなった」という方は、ぜひ整形外科にご相談ください。