手指の変形性関節症
手指の変形性関節症は、40代以降の多くの方に見られる病気です。
レントゲンでは、①骨のトゲがでる、②関節のすき間が減る、③左右に曲がるなどの変形が見られます。
変形部位によって名前がついていて、第1関節(DIP関節)はヘバーデン(Heberden)結節、第2関節(PIP関節)はブシャール(Bouchard)結節と呼ばれます。
ヘバーデン結節は、イギリス人の医師ウィリアム・ヘバーデン(William Heberden)が19世紀初めに報告しました。一方、ブシャール結節は、フランス人の病理学者チャールズ・ジャック・ブシャール(Charles Jacques Bouchard)が19世紀末に報告しました。
疫学
発症には遺伝的な影響が約60%にあるとされていて、ブシャール結節は変形性ひざ関節症と合併している人が多いという報告があります。
指の変形が生じる頻度に男女差はありませんが、痛みを伴う人は女性に多いとされています。
年齢的には、20代以降に発症する方が少しずつみられるようになり、40代以降に急増します。65歳成人の約90%に見られるという報告があります。
経過は個人差が大きく、何年にもわたり痛みが続き変形も進行する方と、一過性の症状で治まり軽い変形ですむ方がいます。
治療
残念ながら変形の予防法はまだ知られていません。
保存療法としては、次のような治療法があります。
①夜間に鎮痛剤を貼付する
②漢方を内服する
③ステロイドを関節注射する
④エクオールを内服する
手術療法としては、次のような治療法があります。
①ヘバーデン結節に対する第1関節の関節固定術
②ブシャール結節に対する第2関節の人工関節置換術
【参考文献】
手指変形性関節症
岩本 卓士
整形外科学レビュー(2021-’22) Page108-113(2021)
手指の変形性関節症(ヘバーデン結節を中心に)の診断と治療
田中 宏昌
Orthopaedics(0914-8124)35巻4号 Page7-11(2022.04)
Heberden結節のアンケート調査
堀内 孝一ほか
日本手外科学会雑誌(2185-4092)30巻5号 Page776-778(2014.02)