コラム

整形外科と疫学 ~腰痛、肩こり、肩腱板断裂、手関節TFCC損傷~

疫学とは、地域社会などで病気がどのような頻度や分布で起こっているかを調べる学問です。
整形外科においても疫学はとても大切です。
この職業でこの年齢にこの症状がでたらこの病気の可能性が高い、ということが推測できます。

例えば、令和4年国民生活基礎調査によれば、日本国民がかかえる症状は男女ともに腰痛が首位で肩こりが2位です。

肩の腱板断裂(肩を上げる筋肉が切れる病気)は、50代の8人に1人、60代の4人に1人、70代の2人に1人にみられます。
肩の症状がないのに腱板が断裂している人も6人に1人います。

手関節TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷は、18~30歳の5人に1人ですが、年齢とともに増えて、70歳以上では5人に3人にみられます。年齢が上がるにつれてTFCC損傷があっても症状がない人が増えて、70代の9割以上は症状がありません。

MRI画像などで肩腱板断裂や手関節TFCC損傷があっても、年令によっては半分以上が同じ状況のこともありますし、過度に恐れる必要はありません。

もちろん、症状がある方はまずは保存療法を行い、症状がとれない場合は手術を行うこともあります。

気になる症状がある方は整形外科にぜひご相談ください。