一過性大腿骨頭萎縮症は、青壮年の男性や妊娠後期の女性にきっかけなく股関節痛を引き起こし、数ヵ月の経過で自然に治っていく病気です。
1959年にCurtissらが報告しました。
正確な原因はまだ分かっていませんが、骨粗鬆症が原因となって生じる大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折という病気と同じような機序で発生するものと考えられるようになってきています。
大腿骨頭から頚部にかけてレントゲンで骨萎縮がみられ、MRIではびまん性の骨髄浮腫を認めます。変形性股関節症、大腿骨頭壊死、骨折、感染、骨腫瘍などに伴う骨髄浮腫と鑑別が必要です。
負荷を避けて安静を保つことが大切です。立ったり歩いたりする時間を減らし、外出する時は杖を使うのがお勧めです。安静期間中に筋力が落ちないようにリハビリも頑張りましょう。
お仕事や子育てで忙しい世代に発症するため、なかなか安静にはしていられないことも多いのですが、回復を信じてご自身の身体を休ませてあげましょう。
【参考文献】
CurtisKincaid PHWE, Jr. Transitory demineralization of the hip in pregnancy. A report of three cases. J Bone Joint Surg Am. 1959;41-A:1327–33.
新しい概念 “軟骨下脆弱性骨折”からみえてきたこと/一過性大腿骨頭萎縮症との関連
山口 亮介(九州大学 大学院医学研究院整形外科学)
臨床整形外科(0557-0433)55巻1号 Page27-30(2020.01)